ひぐらしが鳴く

ひぐらしが鳴く


そもそもが 自分のものではないものを

はらはらと 目の前を落ちてゆくものを


一瞬の眩しいあかりが力なく揺らいで

差し出しそうになる掌を

思わず押しとどめたものは 霞のように不確かな後悔と 頬に落ちた懺悔


今はまだ聞きたく無かったひぐらしの 羽をこすり鳴く音に やがて迫る夕日を追い払い 我に帰るためにわたしは

いくばくかの力を込めて


影を踏む 



 © 2017 Midori Yoshida