彼の方に

彼の方に


月の満ち欠けを感じるたびに 君を想う ​ ひと夜ごとに透き通り 儚くなりゆくその身体 けれど哀しみをたたえたとは 嘘だった瞳 ​ ただ見ていた 目の中にあるその捨てがたき星を ​ 満ちる時には大輪の花を咲かせ そして欠ける時には声すら潜めて 幾たびもそれを繰り返す まるでそれは月に住む彼の方のように 残り香だけを置き去りにした人 ​ 狂おしいほどの思慕 今夜は何処に 手の届かぬどこでその華を見せているのか ​ ハラリと落ちる時 沈む君の身体は また目の中にある捨てがたき星を 探し始めるのだろう

 © 2017 Midori Yoshida