言霊

言霊


言葉が羽を手に入れて

一気に空高く駆け上がる

冷たい風に任せることもできずに

自分の意思を示そうとすると

煽られる

それでも言葉は嬉々として突き進んでゆく

言葉を失ったわたしは

ぐずぐずと手をつきながら地べたをはい回る

踏まれるほどにちいさくまるまっても

ニヤっと笑った靴底に

蹴り飛ばされる

見上げた空にはただ風が渦を巻くだけ

なんてこと なんてことでしょう だからあの時、包んだ真綿を剥がさなければ わたしは安心して……

安心して…… それは違う 貴方、それは違うわ

言葉はね

もともと意思を持つ日を知っていただけ そして貴方は

仮にしつらえられた安直な優しさの波間に 溺れていただけ 溺れていたいと願ってただけなのよ

ヒマラヤンブルーの青いケシの花のように

真綿など最初から幻想だと知っていたでしょう さぁ

顔をあげてひとりで呼吸ができることを知りなさい わたしの中のわたしの声が見限り遠ざかる

その前に